11/27,12/11(月) 三葛木【レビュー】久津木文・池谷知子(2013)「日本語母語話者のカタカナ使用についての予備研究」

2018年01月15日 12:53

更新が遅くなり申し訳ありません。三葛木です。


1回目発表では、カタカナ語とそれに対応する非カタカナ語(例:「ティー」と「茶」など)を、日本語母語話者がどのように使い分けているのかについて調査を行っていた論文を取り上げました。

近年、外来語の多用が問題視されていることなどから、現代の日本において「外来語」がどのような影響を与えているのか、どのようなイメージを持たれているのかなど、外から入ってきた新しい言葉のありように興味を持ったのがきっかけです。

カタカナ語としての外来語と原語である英単語で意味が異なるものがある、ということを出発点に、カタカナ語と非カタカナ語について、直観的に2語の間に差があるかどうか、提示された写真の事物を普段何と呼ぶか、といった調査を行った久津木・池谷(2013)を基に、取り上げる単語や出題形式、項目などについて意見やアドバイスをいただき、調査案を作成しました。


2回目発表では、学芸大生28名を対象に実施したアンケート調査の結果を発表しました。調査で取り上げた単語は、久津木・池谷(2013)からピックアップした、ボトル・ティー・グローブ・チケット・ブラシ・ポットの6語に、新たにシューズ・アイスの2語を加えた、計8語です。また、ターゲットに設定した単語の他、外国語に触れる機会による差や、出身地による特有の呼称なども見るために、海外での滞在について期間と行先、出身地も回答してもらいました。

調査の結果、カタカナ語と非カタカナ語との間に、意味の差があるとされたのは「グローブと手袋」、「ブラシと筆」、「ポットと急須」の3項目で、逆に差がないとされたのは「チケットと券」、「シューズと靴」の2項目でした。また、英語圏での海外経験がある回答者は1名で、他の回答者と特に変わった回答は見られず、また、青森県出身の回答者が「シューズ」の1つに対して特有の呼称を用いていたものの、こちらも1名のみであったため、傾向を出すには至りませんでした。

今回の調査では、海外経験や出身地による差を見ようとしたものの、思ったほど当てはまる回答が得られなかったので、あらかじめ、海外経験のある人に調査をお願いするなどして、絞る必要があると感じました。今後は、日本語母語話者だけでなく、外国語母語話者に対しての調査も行いたいと考えています。また、今回は名詞に限定して取り扱いましたが、動詞についても触れていきたいと思います。