2/2(月)野上【レビュー】大石初太郎(1979)「性別・年齢別と敬語使用」

2015年02月16日 20:55


今回の発表では、学生と社会人の敬語使用の実態を比較調査した大石(1979)の論文を使用しました。

そもそも個人的には学生よりも児童生徒の敬語使用に興味があり、当初はその視点から論文を探したのですが、大石(1979)を参考にアンケートを実施している論文が多いことや、大石(1979)の考察が最も丁寧であったことなどを鑑みて、今回はこの論文を選定しました。


前述したように、この論文は専修大学の学生と大石初太郎の敬語講義受講者である成人女性に対し、敬語使用に関するアンケートを行い、その結果及び分析をまとめたものです。

内容としては、X先生にかかわる動詞が含まれる8つの文を項目として設定し、それぞれ(A)親しい人に話す時・(B)Y先生に話す時・(C)X先生に話す時でどう言うかを答えてもらいます。調査結果からわかることとして、親しい人に話す時はX先生にかかわる敬語が使われにくいこと、男子学生→女子学生→女性受講者の順に敬語使用率が高くなることなどが挙げられます。さらにもう一つの観点として、聞き手(相手)に対する敬語(=ここでは「広義丁重語」)についてみてみます。結果から、Y先生に話す時よりもX先生に話す時の方が広義丁重語の使用率が高いことが分かります。これは、X先生に対して当事者に対する申告意識があるためだと捉えています。

これらの調査結果は個人ごとに見てみるとさらに興味深いデータが出現するものと思われます。しかし、学生にはこのような個人差が見られるのに対して成人女性にはほとんどみられず均質的であり、ここに敬語の問題があらわれています。


というのが今回使用した論文の概要です。

今回の発表では、このような実態調査におけるより正確なデータ収集方法についてフロアの皆様から多くのご意見を頂戴しました。有難うございました。お陰様で自分なりに調査方法とそのイメージが膨らみつつあります。次回発表時は、調査も兼ねてではありますが、より具体的で自分の興味に即した敬語使用について細かく見ていくことができればいいなと考えています。

また、レジュメの日本語に不備が見られ、口頭での修正を加える形になりました。今後も他のゼミ員の発表を参考にし、自らの次回発表時に生かしたいと考えています。

今回の発表にご尽力いただいた白勢先生、先輩方、同輩方に感謝します。有難うございました。



野上

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