2/3,2/10 齊藤 【レビュー】玉岡賀津雄、Toksoz Levent (2010)「新しく作られた短縮語使用に関する世代間比較」

2014年03月31日 00:51

大変遅い投稿となってしまいましたが、2週間にわたって行いました初発表について、まとめさせていただきます。


今回は〈短縮語〉というものに注目しました。ひとくちに〈短縮語〉といっても、汎用性はもちろん品詞も様々であり、論文内においては、世代や男女の違いによって短縮語の汎用性に差はあるのかということが検証されていました。質問紙による調査の結果を基にすると、10~20代のみが受け入れている短縮語は多くあるのに対し、30~40代のみが受け入れている短縮語はほとんどないことから、若い世代のほうがより多くの短縮語を受け入れていることが示されていました。男女差に関しては、それぞれ一方の性別の人のみが多く使う短縮語がいくつか見られたことから、有意差があるとされていました。しかし、中にはどの世代も受け入れていない単語も見受けられ、どのような短縮語が受け入れられ、反対に消えていくのかについては、社会的要因なども関わっていると考えられるようです。


そこで、どのような短縮語が汎用性が高くなりやすいのかということを探るために、2週目には「辞書を用いた短縮語調査」というタイトルで発表しました。本来であれば質問紙調査などを行いたいところでしたが、時間が限られている上、調査対象者が学生ばかりになってしまうために、辞書への掲載頻度を調査することとしました。この際には、ジャパンナレッジを用いて同時に多数の辞書を検索する方法をとりました。結果としては、品詞ごとに比べると、名詞→形容詞→動詞の順に汎用性が高いことがわかりました。しかし動詞の中でも〈サボる〉に関しては、古くから用いられているがゆえ、辞書への掲載頻度が高いと考えられます。さらに〈パソコン〉〈パーソナルコンピュータ〉のように、短縮する前の単語と短縮語の両方が載っている単語や載っていない単語には、どういった違いがあるのかというところにも話が進みました。


今回の調査では、単語数も少なく、傾向をつかみづらくなってしまいました。引き続き、汎用性に差を生む原因を探るとともに、短縮語以外の言葉にも目を向けていきたいです。

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