7/11(月),8/8(月) 小野寺【レビュー】話題転換箇所およびその前後の発話に関する調査

2016年08月20日 08:30



小野寺です。

7月および夏合宿での発表について報告させていただきます。


私はスピーチレベルシフトと会話の流れという二つに興味があり、昨年度の発表ではスピーチレベルシフトに関する論文を扱いました。具体的に何に興味があるのか自分の中でまだ漠然としていますが、今回の発表では白勢先生にご相談の上、会話の流れに焦点を当てました。


会話はある流れを持って進んでいくもので、その流れはある時点で区切ると話題としてみなすことができます。話題は会話者に共通認識として存在するもので、その共通認識がなければ会話はスムーズには進まないのではないか、と考えたことから、話題の区切れに着目しました。



まず、1回目の発表では田中(1997)を援用しました。

質問が会話上で多数起こる事象であることから、質問文を第一発話とすることで会話の流れの指標として用いることができるのではないか、といった趣旨のものです。

しかし、フロアの方々から「質問文以外にも第一発話となるものがあるはずで、それにも目を向ける必要がある」という意見をいただきました。


そこで、いただいた意見を基にして、筒井(2012)を援用して調査を行いました。以下、調査の概略です。


【調査データ】※目的のない、自然な会話に着目

①徹子の部屋(北大路欣也と黒柳徹子の会話)

②依頼して実際に録音したもの(4人の会話)


【分析方法】

(1)宇佐美まゆみの「基本的な文字化の原則(Basic Transcription System for Japanese:BTSJ)」を用いて、会話データを文字化。


(2)発表者が話題の区切れだと思う箇所を第一発話として認定。


(3)形式6つ、使用語句4つの観点から、話題の第一発話を分類。


※形式の質問・独り言・共有・報告は筒井(2012)を援用、形式の文末省略と割り込み、使用語句の4つ(接続詞・終助詞・フィラー・感情の表現)は発表者による予想として追加した。



①のデータでは報告、②のデータでは独り言が多く見られましたが、結果として、著しい傾向等はありませんでした。また一方で、第一発話に加えその前後の発話の特徴として、同意・確認・笑い・あいづち・沈黙といったものが見られました。これは、会話がなされている背景(人数、場面など)にも影響を受けるものですが、今回の調査ではそこまで意識できていませんでした。今後調査する際には、反省として活かしていきます。


今回の調査で、自然な会話を調査対象とするよりもある場面を設定した方が、興味のある流れや構造といったものにアプローチできると結論づけていました。しかし、フロアの方々からいただいたご意見・アドバイスを基に、まずはデータを再分析する必要があると感じました。


今後は、まずデータを再分析し、他の先行研究に目を通すことから取り組む予定です。自分の興味と照らし合わせながら方針を決めていきたいと思います。



ご意見・アドバイス等ありがとうございました。

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